第１８話 始まりの終わり 前編

木曜日です。

一週間に一度の木曜日なのです。

無理やりな設定・・・とは言え、週に一度、２人っきりの時間です。

リンダはまだまだ若くて魅力的なお嬢さんですし・・・

ジョンだって・・・家庭持ち子アリとは言え、まだまだ脂の乗った中年盛り・・・って事にすると、現在一体何歳なんだって疑問も沸いて来ますが・・・そんな事は関係ありません。中の人は大のオヤジ好きなのですから。

ともかく・・・

そんな２人が週に一度、２人っきりなのです。

こんなもん・・・何も起こらないなんて、中の人は認めません！

てことで・・・今日のお話スタート！

「おはようございます。」

「あ、おはようございます。

あの、ジョンさんのおかげで家の中がすっごく便利になりました。」

「それはよかったです。」

「・・・あ、でもお休みの度に来てくださってるから・・・なんだか申し訳ないんですよ・・・ほんとに・・・」

「俺が好きでやってる事なんで、リンダさんはもう気をつかわないでください。」

「・・・えぇ・・・ほんとはそのつもりなんです。ふふふっ。」

「・・・。」

「・・・あ、やっぱり調子に乗りすぎました・・・？」

「・・・いえ、そんなことないです。」

「・・・よかった・・・。」

「・・・じゃ、始めますね。」

「・・・お願いします。」

「今日のお昼はハンバーガーにしようかなって思ってるんですけど、お嫌いじゃないですか？」

「・・・嫌いじゃないですけど・・・今日はキッチン周りをいじる予定なんです。」

「・・・？」

「ほら、飯作るの大変でしょう？」

「・・・じゃ何か頼みましょうか・・・？」

「また後で考えませんか？」

「・・・そうですね。」

「ねぇジョンさん、シンクの自浄式って珍しいですね。」

「そうですか？」

「うん、なんかすっごくリッチな感じです。」

「・・・ふふ、言われてみればそうかな。」 

・・・カチャカチャ・・・カン・・・

 (・・・あ・・・この音・・・)

 (・・・大好きになっちゃったな・・・) 

 (・・・この音も・・・。)

ーしばらく後ー

「あ！・・・そろそろお昼かな。ジョンさん何がいいですか？」

「あぁ・・・」

「まぁ・・・出前って言うとピザとか・・・」

「・・・ピザとか・・・ピザしかないですけど・・・。」

「よかったら外で食べませんか？」

「・・・外で？」

「えぇ、すぐそこだし。」

「・・・じゃ、そうしましょうか。」

まったく・・・。

このジョンって野郎はリンダの気持ちわかってやってんのかなぁ。って感じですが・・・ｗｗｗ

そりゃ・・・リンダだって、その気になっちゃうってもんですよねぇ、まったく。

「あの、ジョンさん、わたしこんなつもりじゃなかったのに・・・」

「何がですか？」

「・・・だって・・・これだけ受け取ってくださいってば。」

「いいんです。いつもうまい飯作ってくれてるし。」

「・・・そんな事・・・」

「ほんとはもっとちゃんとお礼したかったんですけど、やっぱり照れくさいもんですよね。こういうのって。」

「・・・何言ってるんですか！それはこっちの台詞じゃないですか。」

「いくらお礼言っても足りないくらいのことしてくださってるんですから、それはこっちの台詞なんです。」

「・・・。」

「わたしも１人で食べるよりはジョンさんと一緒の方が楽しいし・・・。」

（お前も相当やな・・・。）

「・・・。」

「だからほんとに・・・」

「ほんとにどうもありがとうございます。」

「・・・リンダさん・・・俺・・・」

「・・・え？」

「・・・何でもないです・・・。」

・・・カチャカチャ・・・

「・・・この調子だと次で終わりかな。」

「・・・。」

「思ったより時間が掛かってしまって、すいませんね・・・。」

「・・・いえ、そんな事・・・。

あの・・・ほんとに家の中全部してくださって・・・助かりました。」

「こんなに大きな仕事は久々だったんで、楽しかったですよ。」

「・・・。」

「・・・ジョンさん・・・」

「ん？どうかしましたか？」

「・・・わたし・・・」 

「・・・？」

「・・・あの・・・」

「ほんとに・・・何てお礼言えばいいのかわかんないなぁ・・・って・・・」

「もうお礼は十分ですよ。」

「・・・そうなんですけど・・・」

「・・・ジョンさん・・・わたし・・・」

「・・・はい。」

「・・・わたし・・・」

・・・ピンポーン・・・

「・・・あ・・・お客さんです・・・。」

「・・・えぇ・・・」

「・・・もうちょっとで終わりますから。」

「やぁ！」

「・・・御機嫌よう。」

「あの、いきなり女性の家を訪ねるなんて失礼かなと思ったんだけど・・・どうしても我慢出来なくて・・・。」

「あ、俺ルシアノっていうんだけど・・・この前、街で君のこと見かけてさ。」

「・・・えぇ・・・。」

『・・・それで、よかったら・・・今度の日曜のコンサー・・・』

『・・・ト・・・、もし・・・暇なら・・・一緒にどうかなって・・・。』

「『たまたまチケットが２枚』・・・じゃないんだ。」

「・・・あの・・・」

『君と・・・行きたくて・・・用意したん・・・だけど・・・どうかな。』

「・・・あの・・・」

「・・・どうでしょう・・・」

「・・・そっか。あ、じゃ・・・

連絡先だけ渡して行くから・・・気が変わったら電話して。いつでも。」

「・・・あの・・・」

「・・・じゃ、日曜日にね！」

「・・・。」

 

・・・カチャ・・カチャ・・・

 

「・・・よし・・・今日はこの辺でいいかな。」

「・・・ジョンさん・・・遅くまですいませんでした・・・。」

「・・・リンダさん・・・」

「・・・さっき、何か言おうとしませんでした？」

「・・・え？」

「さっき、何か言おうとしましたよね？」

「・・・あの・・・わたし・・・」

「・・・次で終わりって・・・何だか寂しいなぁ・・・って・・・。」

「・・・。」

「・・・そう・・・思っただけです・・・。」

「・・・あぁ・・・。じゃ・・・もう遅いんで帰ります。」

「・・・えぇ・・・。」

 「・・・あの・・・ありがとうございました・・・。」

「いえ。」

 

・・・バタン・・・

 

てな訳で、今日は神様の悪戯が炸裂しちゃいましたが・・・

大体、こういうお話は・・・

雨降って地固まる・・・と、なるでしょうかね・・・？