第17話 距離
ー木曜日ー
ひょんなきっかけでリンダの家のアップグレードを請け負う事になったジョン。
複雑な心境で断り続けていたリンダも、遂に頷いてから初めての木曜日。
リンダは、どんな心境でジョンを迎え入れるのか・・・
ジョンは、どんな気持ちでここを訪ねるのか・・・色々ありますが・・・
・・・遂に呼び鈴が鳴りました。
・・・ピンポーン・・・
「おはようございます。」
「あの・・・わたし考えたんですけど・・・」
「やっぱりダメです・・・って?もうその話なら・・・」
「いえ・・・せっかくだからお願いしようかと・・・」
「ほんとですか?」
「・・・たいしたお礼もできないけど・・・
・・・でもジョンさんは大丈夫なんですか?せっかくのお休みなのに・・・。」
「そんなことは構いません、楽しみができてちょうどいいくらいで。」
「じゃ・・・ほんとに・・・お願いしてもいいんですか?」
「もちろん!もちろんです。」
・・・コンコン・・・
・・・コンコンコン・・・
「ジョンさん・・・お昼にしませんか?」
「あれ?もうそんな時間ですか?」
こうして・・・
思いのほか・・・
「うまくできてるといいんだけど。」
「いつもうまいですよ。」
「・・・ほんとですか?」
「ほんとに。」
「ジョンさん・・・そんな事しなくていいです!」
「何言ってんですか。ごちそうさまでした。」
それは楽しい時間だったから・・・
・・・楽しい時間だったから・・・
意識してないなんて言ったら・・・
・・・それは・・・
・・・やっぱり嘘になるけど・・・。
「パソコンよく使うでしょう?耐久性つけときますね。」
「お願いします。」
「今日はキーライムパイもつけちゃいますね。」
「それは楽しみだな。リンダさんのキーライムパイは絶品だから。」
「ふふふっ。ほんとに?」
「・・・ほんとに。」
「じゃ失敗しないようにしなきゃ。」
好きな食べ物はキーライムパイ。
好きな色は水色で、
「ちょっとだけ音楽つけたら邪魔ですか?」
「全然!全然邪魔じゃないです。」
好きな音楽はインディー。
器用さがマスターだけじゃなくて便利屋で、
そしてちょっと高慢ちき。
そんな風にして縮まっていった2人の距離。