第14話 ゴス家の夕べ
リンダがサンセットバレーに越してきてしばらく経ちました。
どうやらリンダには隠しておきたい過去もあるようですが・・・。
ここ最近は・・・
また少し沈みがちだったリンダの表情も・・・
友人と呼べる隣人の支えもあってか、ずいぶんと明るくなったようです。
そんなある日。
今日はあのゴス家にお呼ばれのようです。
「今日はお招き頂いてありがとうございます。」
「うちに若い方を招くなんて久々だから何だかウキウキしちゃってるの。」
「これよろしければ皆さんでどうぞ。」
「あらいい香り、手作りかしら?」
「えぇ、お口に合うかわからないけど。」
「さっそくお茶の用意をするから、あの人の相手をお願いできるかしら。」
「喜んで。」
「久しぶりじゃの。元気にしておったのか?」
「うん、おじいちゃんは?」
「わしはこの通り元気じゃよ。」
「まぁ、こんな美味しいクッキーって食べた事ないわ。」
「お前がそんなにご機嫌なんてのも随分久しぶりじゃの。」
「あら、あなたこそ!この家に若い方を招くなんてねぇ。雪でも降るんじゃないかしら?」
「もうこの街には慣れた?」
「えぇ、とても過ごしやすい街で居心地がいいです。」
「それは良かったわ。長く暮らしていけそう?」
「そうですね、きっと・・・。」
「きっとそうなると思います。」
「あら・・・」
「それは良かったのう。」
「ほんとに。」
「それじゃちょっと失礼して夕食の支度に。」
「お忙しそうなので私もそろそろ・・・」
「食べて行きなさい。」
「そうよ、今日はお祝いなんだから。」
「じゃお言葉に甘えようかな。」
「執筆の方は順調に進んでおるのか?」
「うん、ちょっとずつだけど何とか形にできそう。」
「それはいい事じゃの。」
「へへへ。」
「おや、これは可愛いお客さんが。」
「こんにちは、お邪魔してます。」
「この家に客人なんて、雪でも降るんじゃなかろうか。」
「おい、いかんぞ!この子にちょっかい出しちゃ!!」
「はいはい、うるさいじいさんだ。」
「そうだ!この間行ったエジプトの土産を見せてやったらどうだい?」
「わぁ!エジプトに旅行されたんですか?」
「そうなんじゃよ。ほれ!ガンサー早よ見せてやったらどうだね?」
「ぜひ。」
「・・・。」
「ほれ、何しとるんだ、早く持ってこんかね。」
「仕方ないのう・・・席を外すのは少々!!心配なんじゃが・・・。」
「ふひひ!これで邪魔者は消えたわい。」
「私も小さい頃はよく連れて行ってもらったな。」
「ほう!その話はぜひ聞きたいなぁ。」
「エキゾチックな街並みが素敵で・・・懐かしいな・・・。」
「じゃろう。どうかね、今度は二人っきりでエキゾチックロマンチックしてみんかね?」
「・・・ははは・・・今の時期だと向こうは暑かったでしょう?」
「そうだのう、それはもうアツアツだったな・・・アツアツと言えば・・・」
「どうだい?今度はワシと二人でアッツアツに燃えあがってみんかね?」
「ははは・・・本当に面白い冗談を・・・。」
「あら、どなたかお客さんなの?え?リンダが??この家に???」
「この家にお客さんなんて!!信じられないわ!!夢みたい!!きっと雪でも降るのね・・・って!」
「・・・お邪魔だったかしら?」
「・・・トリさん!!」
「ぎょぎょぎょ・・・?」
「あの・・・トリさん、誤解なんです・・・。」
「いいのよ、こんな事でいちいち怒ってたんじゃ誘惑的なシムの妻なんてやってらんないでしょ。」
「それにお蔭で欲しかったバッグ買ってもらえるじゃない ♪ ね、アナタ。」
「・・・仕方ないか・・・。」
「気を付けて帰るんじゃよ。」
「うん、今日はほんとにありがとうございました。」
「また来てちょうだいね。」
そんな風にして・・・
新しい作家仲間や、
気さくな隣人達との・・・
そんな何気ない楽しい時間の中で徐々に元気を取り戻していったリンダ。
ようやく執筆活動再開ですね。
でもね・・・
神様は時々・・・
ものすごーく意地悪だったりするんだよ・・・。
ものすごーく・・・ね。