第20話 ジョンの場合
「・・・帰らなきゃ・・・」
「・・・そうだな・・・。」
・・・という訳で、遂にそうなってしまったこの夜。
うわっ・・・やっべ・・・やっちゃった・・・やってもーたよ!!!
・・・マズイ!・・・でもチョメチョメは・・・よかった・・・うふん・・・!
・・・まぁ色々あると思いますが、何よりもまず、ジョンは家に帰らないといけません。
だってねぇ、さすがにこの時点では帰ると思うんです。
ある意味、勢いでそうなってしまった・・・という状況ですし・・・。
で、まぁ、この帰り道、ジョンが何を考えていたのかなー・・・?
・・・と、一生懸命ジョンの気持ちになって考えてみました。
そうして出来たジョンの回想録です。
高校を卒業してからは、スポーツキャリアを選ぶってこと意外まだ何にも考えてなかった頃のジョン。
正真正銘のサンセットバレーっ子で、この頃から人付き合いはうまかったみたいですね。
そんなジョンがミッシェルと出合ったのは遠征先のリバービューでした。
それは、ある晴れた日の昼下がり・・・
「やぁ!君、ここの子?」(完全にただのナンパ!)
「ううん、ちょっとだけ。」
「ぷっ・・・ちょっとだけって?」
そのベンチに座るミッシェルは、花のような女の子でした。
わりとすぐに恋に落ちて・・・ジョンとミッシェルは付き合うようになりました。
そして、わりとすぐに・・・
「・・・妊娠したの・・・。」
まだ結婚なんて考えてもいなかった頃です、これには正直驚いたジョン。
そして、それはミッシェルもきっと同じだったと思います。
「ミッシェルさんと・・・結婚させてください。」
「コナー君、まさか君は子供ができたからそう言ってる訳ではないだろうね。」
「順序が違うことは、重々承知しています。ミッシェルさんと結婚させてください。」
「今時珍しくもないことだし、こっちがとやかく言う問題でもない。孫が生まれるのはめでたいことだ。」
「・・・ただ、1つ約束してくれないか。」
こうしてジョンとミッシェルは結婚しました。
妊娠中のミッシェルの体調が悪く、結局、結婚式も何も出来ませんでしたが、とにかく二人は結婚しました。
お父義さんの全面的な協力でサンセットバレーに家を構えることになって、
そしてまもなくクリスチャンが生まれました。
クリスチャンが生まれたのは、この若い夫婦にとって素晴らしい出来事で、
小さなクリスチャンが、まだ若くて考えなしだった彼らの大きな支えとなりました。
しばらくしてまたミッシェルが妊娠し、その男の子はお父義さんの名前からロバートと名付けられました。
ジョンの2人の息子は何の問題もなくまっすぐ育ち、家族円満、仕事も順調で、何の疑問もない・・・
俺は、何の疑問すら抱いていなかった。
・・・あの日までは・・・。
新しい人が引っ越して来たのは知っていたし、知り合ってからも素敵な人だとは思ったけど、あの日、ビーチでライムを摘んでいたその人の笑顔は・・・
それはあまりにも魅力的で・・・
・・・それはあまりにも魅力的だった 。
だからクリスチャンから自浄式の話を聞いた時も、俺は正直どうすればいいのかわからなかった。
「・・・何の話だ?」
「だから、リンダの家って全部新品なんだよ。親父いつも言ってただろ?いじれる場所があればどこでもいいから教えろーってさ。」
「・・・まぁな。」
「だから、やってやればいいんじゃないかと思ってさ。どうせ暇だろ?」
「・・・それは・・・どうだろうな・・・。」
「あ、もしかして親父、緊張してんの?まさか女の子の家だからとかwwww」
「・・・馬鹿言え・・・。」
「ほんと馬鹿な事言ってるわ。この人相手に何かなんて起こる訳ないじゃない、ねぇ。」
「・・・やってあげたら?私は気にしないわよ。」
「ほら、お袋もそう言ってる事だし!決まりだな。」
「・・・。」
「あ、親父。それでさ、あの子すごい気つかいーみたいだから、そこんとこうまくやってあげてよ。」
しばらく悩んで、結局彼女の家を訪ねることにした。
クリスチャンの言った通り、彼女は断ってきたけど俺はあえて強引に事を進めた。
ほんとは・・・
・・・その日だけで終わらせる事だって出来たのに・・・
頼まれたわけでもないのに・・・。何やってんだろうか、俺は・・・。
・・・何って不倫ですよ。
しかもこの回想録の感じでは・・・完全に心も浮気しかけてる感じになってしまいましたが・・・
まぁリンダもすっとぼけたフリして結構グイグイ攻めてたと思うので・・・
まぁ・・・そんなリンダに関心が向いてしまうのは、仕方ないかと思います。
・・・どうしても不倫モノって後ろめたいんですよねぇ・・・当人じゃない私でこれなんだから本人たちはそりゃ背徳感で余計燃えてしまうのかなぁと思います・・・。
さて、チョメチョメ帰りの家・・・こういう時ってどう振る舞うもんなんでしょうか?
私は一応こう見えて立派なババアなので・・・不埒な男性になりきって、これまた一生懸命考えた結果・・・
・・・風呂に入るかなぁ。
いや、リンダの家で入って来なかったの? 風呂に入らなくてもいいくらい・・・?そんなにあっさりしたチョメチョメだったの?
などなど・・・疑問はたくさん沸いて来るのですがね・・・ゲヘヘ!
で、風呂に入って喉が渇くので、何か物色すると思う。
そして・・・浮かれて冷蔵庫のドアを普段通り閉めてしまったばかりに・・・
「あなた。」
・・・奥様が起きて来てしまうと思う・・・。
「帰ってたの?遅かったのね。」
「・・・いや、その・・・」
たぶん今、ジョンの頭の中は超高速フル回転中でしょう・・・。
さぁ、苦手な咄嗟の言い訳、頑張るのだジョン!
「いや・・・あれだ・・・」
「・・・キートンさんのところがまた喧嘩してるみたいで・・・愚痴に付き合ってたんだよ。」
「あらそう。あそこは仲がいいんだか悪いんだか・・・大変だったわね。」
「・・・あぁ・・・。」
「じゃ、寝るわ。」
「・・・おやすみ。」
・・・ギリギリセーフってところでしょうか。
でも・・・危険な橋渡りは始まったばかり。
これも自分たち・・・いや、中の人が・・・蒔いた種です。
そう、物語は今始まったばかり。