美食家サマンサ
・・・居座るタイプの風邪にやられて死んでいました。
ようやくお帰り頂いたので、ホッと一安心、さっそく続きです。
今日は全体的に物語形式、なぜ病み上がりにこんな面倒な事をしているのか・・・。
ともかく続きです。
「お客様ご来店で~す!」
「いらっしゃいませー!」
「ではジョーンズさま、こちらのお席ですね。
よろしければテラス席も心地がいいと好評ですよ。」
「いいえ、ここ!ここがいいの!」
一方その頃・・・
今日のトンプソンさんは二階の休憩室兼事務所で帳簿作業です。
どうせならオーナー業でこういう事が出来ると嬉しかったですね。
「じゃあねぇ、今日はこれを頂いてみようかしら。」
「ここのお料理はどれも美味しいから、色々食べたくなるのよねぇ!」
・・・と、今日も順調なトンプソンズですが・・・
こんな小芝居やってるので、当然何か起こります・・・w
「・・・?」
「・・・なーんか・・・あの人・・・知ってるような・・・?」
「・・・うーん・・・えっと・・・誰だっけ・・・?」
「・・・あれ・・・?」
「・・・ヤバイ!」
「・・・オーナーっ!」
「たたたた!大変なんです!」
「ん?どうした?また気まぐれシェフくんが気まぐれ発動したのか?」
「・・・そうじゃなくて・・・!」
「・・・何だって?でもイケメンくんには出入り禁止だと伝えてあるんだぞ?」
「・・・でも、あの顔、絶対・・・たぶん、きっとそうです!」
「・・・おいおい・・・面倒な事になりそうだなぁ、まったく。」
「・・・どうです?やっぱりあの人・・・」
「・・・サマンサだな・・・。」
サマンサ・・・。
知らない方には何のこっちゃらですね。
病み上がりに面倒な事やると雑になります・・・w
ともかく、簡単に説明しますと・・・
サマンサ・ジョーンズ。
美食家。
泣く子も黙る美食家、そしてその確かな舌をフル活用するレストラン批評家。
「あれっ!あの女!また来たのかい!」
「え?何の話ですかぁ?」
「サマンサ・ジェロッドだよ、批評家の!」
「・・・えっ・・・!それって・・・ヤバイ!」
「ヤバイよ!ちょっとトンプソンさん!気合入れないと大変だわ!」
「えぇ?たかが批評家だろ、そんなに騒ぐ程の事じゃないでしょう。」
「まったく、アンタは!あの女の恐ろしさ知らないからそんな事言って。」
などと・・・とにかく泣く子も黙る批評家みたいですね。
でも・・・
ちょっとは腕に自信があったトンプソンさん。
しかも相手はどう見ても悪い子には見えない、むしろ可愛い・・・女のシムです。
やっぱりオジサン・・・
こういう女には弱いんじゃないかなーwwwなんてムフムフしていたら・・・
「やだ!まっずーい!何これ不味い!」
「ちょっと、本気でこれを客に出していいと思ってやってんの?」
「あーぁ、人気の店だからって来たのにガッカリだわ!
こんなの、ただの三流ダイナーじゃない!」
などと・・・w
遠慮なしにボロクソ言うのがサマンサのスタイルとか何とか・・・。
しかも若くて綺麗な『美食家』特質持ちのシムです、
影響力も絶大で、泣く泣く店を畳んだ老舗も星の数・・・。
「・・・悪夢だ・・・。」
「ちょっと!イケメンくん、サマンサ・ジェロッドは入店禁止になってるでしょ?」
「・・・え?何の話?」
「今さっき鼻の下伸ばしながら通した客がサマンサよ!」
「・・・うっそだぁ!だってリストにはジョーンズで入ってたし・・・」
「まったく・・・!だいたいあの顔見て何も思わなかったの?」
「・・・いや、まぁ・・・その・・・。」
「・・・挨拶くらいはしなきゃ駄目だろうな・・・はぁ・・・。」
「おやおや、これはサマンサさん、今日は何をしにおいでですか?」
「いきなり失礼なのね。」
「はっはっはっ、あなたに失礼と言われるとは世も末だ。」
「偽名を使って店に潜り込むとは一本やられましたな。」
「もうっ!そんな事する訳ないじゃない!離婚したから旧姓に戻したの、ほほほ。」
「なるほど・・・それは・・・失礼しました。」
「そんな事より!
なんだかすいぶん話題の店みたいね、遠くの方まで話題独占しちゃってるわよ。」
「いえ、ようやく軌道に乗ったばかりですので・・・出来ればお帰り頂きたい次第で・・・」
「あら、ここのオーナーさんはユーモアセンスは抜群なのね!」
「くそーっ!なぜ今こんな事にならなきゃいけないんだ!」
「まぁまぁ、オーナー・・・ちょっと落ち着いて・・・」
「『素人同然のスタッフに支えられる三流シェフの三流料理。
どう考えてもオーナーは三流以下、どうしてこんな店が流行っているのかしら?』」
「・・・何ですか、それ?」
「・・・明日の新聞の批評だよ。良くてこんなもんだ。」
「・・・そんな・・・」
「うちの店がそこまで酷い書かれ方する訳ないです!」
「・・・それがなぁ・・・。」
「何しろ・・・サマンサって女はどこで何食っても満足しないんだよ。
あのシェ・ラマですら3つ星ってんだから・・・まったく・・・」
「・・・一体何の恨みがあるってんだよ。」
おやおや、裏では大変な事になっていたんですね。
で・・・そうこうしている間に・・・
何を食べても満足しない美食家サマンサの料理が運ばれて来ました。
一世一代の大勝負です!出来上がりはどんなもんかなー・・・?
「さぁ!お待たせしました・・・!」
「うふふ!待ってたわよ~!」
・・・と・・・
何というタイミング・・・www
いつもは『普通』品質の料理が出る事がほとんどなのですが・・・w
この日はまさかの両方『悪い』ですって・・・。
「・・・あー・・・では、ごゆっくりお楽しみ下さい。」
「・・・ふーん、何だか変な匂いがするけど、まぁいいや、頂きまーす!」
・・・。
「・・・うぇっ・・・何これ!・・・ま・・・」
「・・・まっずーい!信じらんない!何なの?このマグロとワサビの生ゴミは!」
「・・・。」
「あぁ、不味い!臭いし!」
「おい、そんなに不味いなら代金は要らないからさっさと帰ってくれよ。」
「だって、不味いけど、食べ物粗末にしたらもったいないじゃない。」
・・・意外と礼儀正しい・・・wどんなツンデレwww
その後も・・・
店内に高らかと響き渡るサマンサの不平不満・・・。
トンプソンさん、すっかり意気消沈です。
当の本人は・・・思う存分店を批評できてご満悦な様子。
あぁ、困った困ったサマンサ様だなぁ。
「まぁ、こんなもんね。」
「・・・お客様お帰りでーす・・・。」
「あら、オーナーさん、お見送りなんて結構よ?」
「ちょっと・・・外で話せるかな?」
「あのさぁ・・・君がどういうつもりか知らないけど、この店は俺にとってすごく大事な店なんだ。」
「でしょうね。・・・で?何が言いたいの?
まさか、お手柔らかに・・・なんて言い出すのかしら?」
「そうじゃないけど・・・・。」
「あのね、私も離婚して丸くなったのよ。」
「・・・はい?」
「これまで確かにちょっと意地悪だったから、これからはチャンスをあげるわ。」
「一体・・・何の話で?」
「また来るから、その時は完璧な料理を出しなさいってこと!じゃまたね!」
・・・と、嵐のように去って行った美食家サマンサ。
トンプソンさんはすっかり気落ちしていますが・・・w
サマンサが思いのほか小悪魔キャラなので、このお話・・・
もうちょっと続きます。