アーロンとシャロンダ
ラッキーパームスにあるモーテル『シャロンダ』の朝。
今日も新しい1日が始まろうとしています。
そんなこの宿の主、駄目親父アーロン。
彼は基本的にいつも機嫌が悪いですが、最近は特に調子が悪いようで本当にいつも不機嫌な今日この頃。
「あーっ!楽しみだなぁ!春祭り!!」
「ふふふ、そうだねぇ、春だもんねぇ。」
「お兄ちゃんたちもイーサン誘ってみんなで行こうよ!」
「アーロンさんも一緒にどう?きっと楽しいわよ、お祭り。」
「・・・俺、今日は探偵の仕事があるんでね。」
「あら、残念ねぇ・・・。」
などと言いつつ・・・
やっぱり不満気です・・・w
『卑劣』な特質持ちなので、他の人が楽しそうにしてるだけで機嫌が悪くなっちゃうのかな・・・損な性格です。
アーロンは探偵の仕事で警察署へ、
みんなは春祭りのお祭り会場へやって来ました。
順調に距離を縮めるお2人さん。
春は愛の季節ですしね。
今年は特に長くて寒い冬が過ぎ去った後なので、
普段よりもっともっと春の歓びを実感ってところでしょうか。
一方その頃・・・
警察署での探偵の仕事を終わらせたアーロン。
相変わらず不機嫌です・・・w
ほんとに・・・一体何がそんなに不満なのかわかりませんが・・・
この不機嫌親父が唯一、無条件で上機嫌になる瞬間・・・
それは・・・想い人シャロンダと一緒に過ごす時間。
モーテル『シャロンダ』の名前の元にすらなっているこの彼女。
何の腐れ縁だか知りませんが、とにかくアーロンはシャロンダに首ったけ。
そんなアーロンの気持ちを知っていながら、適当にあしらって利用する時だけ色仕掛けしちゃうのが悪女シャロンダの得意技なんです。
そんなシャロンダのお話。
その昔・・・
むかしのお話・・・。
シャロンダが極悪不動産屋で働いていた当時にまでさかのぼって。
性悪女と極悪社長さんの図です・・・w
アルトさんは本当に極悪成金みたいな役が似合いますね・・・w
そんなお似合いコンビのこの2人、よくある話です・・・出来てました。
「ねぇ・・・パパ・・・もうちょっとお給料上げてくれない?」
「ん?どうしたんだい?何か欲しい物でもあるのか?」
「うん・・・ちょっと引越ししたくて・・・今の家狭すぎるんだもん。」
「ほう・・・だったら・・・こうしよう。」
「え?なになに???」
「町外れにあるモーテルだよ、あれを何とか売り飛ばしてやろうと思ってたんだよ。」
「誰かいいカモ捕まえて来たらボーナス弾んじゃうぞ!」
「・・・カモねぇ。」
「えぇ・・・そんな美味しい話って本当にあるのかい?」
「もっちろん!見た目はあんなだけど、ちょっと手を加えたら見違えるようになるわよ。」
「・・・うーん・・・。」
「ほら、この町って観光客も多いし!絶対損な話じゃないと思うわよぉ。」
「・・・まぁ、君がそう言うなら、見てみようかな。」
このようにして・・・
まんまとアーロンの身包みを剥がしちゃったんだから、たいした女です。
若さと美貌、そしてズル賢さまで兼ね備えたシャロンダ。
まさに人生の春です。
だったのに・・・
そう、人生何が起こるかわからないんです。
一仕事終えてふらりと出掛けたバカンス先で、まさかの妊娠発覚。
どっちの子供なの・・・?という疑問はそのうち片付けるとして・・・
「えぇ・・・出来ちゃったって・・・嘘だろ?」
「・・・本当なの・・・」
「うーん・・・参ったなぁ。」
などと・・・結局は都合のいい女が欲しかっただけの極悪社長さんです。
当然のように・・・あっけなく捨てられてしまったシャロンダ。
仕方がないので町に戻って・・・
『あの時・・・どうしてプロポーズしてくれなかったの・・・?
そうしてくれたら・・・きっとわたし・・・。』
などと・・・どこまでも自分勝手な女だなー、もう。
数回関係を持っただけの女に、
いきなり『出来ちゃったの・・・』なんて言われてもねぇ・・・。
ただ、この駄目親父も相当馬鹿です。
結婚こそタイミングを逃しましたが、結局シャロンダにいいように弄ばれちゃって。
子供まで押し付けられちゃって・・・。
たぶん・・・華々しい役者の世界を転げ落ちて、
辿り着いた先で幸運を掴んだと思ったのに、それすらも一時的なもので・・・
だからこそ泥沼から抜けられなくて、
いつまでも深みにはまったまんまなのがアーロンの人生なのかなーと思います。
そんなアーロンも・・・気が付けば中年です。
「ちくしょー・・・また負けちゃったよ。最近ほんとに調子悪いなー・・・。
あーぁ、つまんねぇなぁ、まったく・・・。」
などとボヤきつつ・・・仕方なく家に戻ってみると・・・
「けっ・・・またパーティーなんかしてやがんのか。あー嫌だねぇ。」
『せーのっ!!』
『サプライズ!!』
「・・・は?」
『アーロンおじさん・・・お誕生日おめでとう!!』
はい、唐突ですが・・・w
今日はアーロンのお誕生日、いよいよ中年になります。
せっかくなのでちょっとした小芝居にお付き合いいただきました。
いつも不機嫌なアーロンだけど、家の修理や力仕事はこっそりやってるので、
自分が思ってるほどみんなから嫌われてる訳じゃないんだよ。
いよいよ中年だもん、そろそろ性格も丸くなるといいですね。