第15話 きっかけ
・・・ピンポーン・・・
「・・・ジョンさん・・・。」
「・・・。」
「こんにちはリンダさん。」
「・・・こんにちは。」
「突然お邪魔してすいません。息子から話を聞きましてね。」
「・・・もしかして自浄式の事ですか?」
「えぇ。」
「・・・あの・・・でも、お断りしたはずなんですが・・・。」
「えぇ、でもせっかくですから・・・やっぱりご迷惑でしたか?」
「・・・いえ、そんな事は・・・。」
「・・・お時間は取らせませんから・・・
「・・・少しお邪魔させてもらいますね・・・。」
「・・・。」
「・・・あの・・・ジョンさん・・・やっぱり・・・どうでしょう・・・。」
「・・・リンダさんはシャワーとバスタブどちらをよく使います?
「あぁ、作家さんだからバスタブかな。」
「・・・あの・・・」
「すぐ終わりますから、任せといてください。」
「・・・。」
「・・・どうしよう・・・。」
「・・・やっぱり・・・。」
「あの・・・ジョンさん・・・。」
「いいバスタブを使ってるんですね、久々だな、こんないいバスタブのアップグレードは・・・思ってたより時間が掛かるかもしれません。」
「あの、ジョンさん・・・やっぱりダメです。」
「・・・リンダさん・・・。」
「せっかく見つけた俺の楽しみ奪わないでください。」
「・・・でも・・・。」
「本当に楽しみでやってるんです、だから・・・。」
「・・・。」
「素直じゃないリンダさんは嫌いですよ?」
「・・・じゃ・・・」
「お願いしちゃおうかな・・・。」
「そうこなくっちゃ。なるべく早く終わらせますから。」
「・・・ごゆっくり・・・。」
「・・・。」
「あ・・・!」
「よかった・・・ちょうど実ってる。」
「お願いだから今日だけは上手く出来て・・・」
「ジョンさん・・・よかったら少し休憩にしませんか?」
「あぁ、そうですね。」
「わぁ!これは嬉しい、好物なんです。」
「・・・ほんとに?」
「・・・お口に合うかわかりませんが。」
「いただきます。」
「召し上がれ。」
「どうやったらこんなにうまいキーライムパイが作れるんです?」
「・・・え?」
「こんなに香りのいいキーライムパイは初めて食べる。」
「・・・それは・・・」
「それは果物摘みのお嬢さんに聞いてください。」
「え?」
「・・・何でもないです。」
「ご馳走様でした。」
「あの、ジョンさん・・・」
「・・・?」
「本当はすごく嬉しいんです・・・.。」
「・・・それなのに・・・さっきは素直じゃなくてごめんなさい。本当にどうもありがとう。」
「・・・どういたしまして。」
「さて・・・もう一頑張りするか。」
「お願いします。」
「・・・リンダさん。」
「リンダさん、終わりました。」
「今日は本当に何とお礼を言えばいいのか・・・」
「どうか気にしないで下さい。」
「・・・あの・・・お礼なんですけど・・・」
「馬鹿なことを言っちゃいけません、お礼ならもういただきました。」
「・・・?」
「もう俺の腹の中に入ってますって。」
「・・・本当にそれでいいんですか?」
「もちろん。十分過ぎる程でした。」
「・・・それで・・・残りなんですけど、また今度でいいですね?」
「・・・残りって・・・?」
「この家、アップグレードできる物ばかりでしょう?俺の休みが木曜なんでまた来週お邪魔しますね。」
「・・・あの・・・ジョンさん・・・。」
「・・・では、今日はこれで。」
「・・・あの・・・ジョンさん・・・困ります!」
「・・・。」
「・・・どうしよう・・・。」