第6話 出会い・・・
「クリスさんの講演会か・・・」
「SF作家さんだし・・・もしかしたら・・・」
「って・・・何期待してんだろ。」
「でも・・・こんな気分になったのって・・・」
「・・・久しぶりだな・・・。」
それは・・・サンセットバレーの心地いい潮風に乗って・・・
「すなわち、これこそがフリーシムソンの最大の秘密なのであります。」
「そもそもは裕福なプログラマー集団によって結成されたのが始まりで・・・」
「そういう訳で、この最大の秘密は永い間頑なに守られてきた訳であります。」
「続きは僕の新刊『シム・ル・ル・シャトーの秘密』にて・・・」
「今日は・・・ぼちぼち・・・ゴホン・・・お集まりいただきましてどうもありがとうございました。メイ・ザ・シムズ・ビー・・・」
「ふふふ・・・クリスさん・・・相変わらずだな。」
「あれ、リンダ。来てたんだ。」
「クリスさん、今日はとっても興味深い講演会でした。」
「へぇ、リンダがこの分野に興味あるなんて意外だな。」
「・・・え、えぇ・・・。」
「で、リンダはどう思う?フリーシムソンの・・・」
「・・・また始まったのか・・・。」
「あ、お義父さん。もうリンダには会いましたか?」
「あぁ、まだだと思う。」
「じゃ・・・こちら新しく越して来た有望女流作家のリンダさん。」
「で、こちらが僕のお義父さんのジョンさん。」
「初めまして。」
「どうも。もうこの街には慣れましたか?」
「えぇ、とても過ごしやすい気候で。」
「でしょう、取り柄は海くらいしかないんですけど、みんな気のいいやつばかりなんで。」
「本当に素敵な街ですね、ここは。」
「・・・えぇ、そうなんです。」
「もうあらかた街の方にはお会いできたかなって思ってたけど、まだまだみたい。」
「新作の方ははかどってる?」
「う、うん、何とか。」
「お前もしっかりしないとな。」
「リンダとは完全なジャンル違いだから大丈夫・・・だと思う。」
「リンダさんもバリバリ書いて、ちょっとこいつの尻叩いてやって下さい。」
「ちょっとお義父さん・・・。」
「あ、じゃ・・・ちょっと頑張ってみようかな。」
「参ったなぁ。」
「ふふふ。」
「まぁ・・・お手柔らかにお願いしときます。」
「えぇ、そのつもりでした。」
「じゃ、俺そろそろ・・・仕事なんです。」
「お義父さん、今日はわざわざどうもありがとうございました。」
「クリスチャンの代わりで悪かったけど。」
「いえいえ、一つでも席が埋まってくれたら万々歳で。」
「まったく、お前もいい加減ちょっとはやる気出さないとだめだぞ。」
「はーい。」
「相変わらず調子だけはいいやつだな。」
「てへ。」
「・・・リンダさん・・・ではこれで。」
「・・・えぇ・・・」
「御機嫌よう・・・。」
(・・・?)
「ジョンさんって・・・」
「ほんとにいい人なんだよ。」
「うん・・・そんな感じだね。・・・ほんとに・・・。」
「よかったらお茶でもどう?陰謀の話できる人ってなかなかいないんだな、これが。」
「・・・え・・・うん。」
「じゃちょっと用事済ませて来るから待ってて。」
「うん・・・。」
そう・・・それはサンセットバレーの潮風に乗って・・・。